この航海で活躍したのは,Multiple-Plankton-Sampler(通称Multinet)という多段式ネットです.5層の鉛直各層曳きが可能す.取り付けているニスキンボトルがネットの閉鎖に合わせてしまる仕組みになっているので,採水も同時並行で行うことができます.日本では同様の多段式ネットとしてVertical Multiple Plankton Sampler(VMPS)というものが使われていますが,閉鎖の仕組みやコッドエンドの留め方やハウジングなど,細かい部分でいろいろと異なる点がありました.ネット観測と採水を一度で済ませられるというのもよいですね.
観測に関して,日本の研究船との最大の違いは,ライフジャケットを着ないことでしょうか.後部甲板で係留系の設置・回収作業などしない限り,船員の方も含めてライフジャケットは着用していませんでした(Tシャツもしくはタンクトップ,短パンにヘルメットと安全靴,というのが基本スタイルです).なおヘルメットにはあご紐はありません.みんな自分のヘルメットに思い思いの絵を描いたりして楽しんでいました.写真は私のヘルメットです.
甲板の脇にはテーブルと椅子のスペースがあり,観測をしながらみんなで座ってコーヒー片手におしゃべり,という光景が一般的でした.夜の観測では,作業しているすぐ横でイカ釣りなども.リラックスして楽しく過ごす,ということが尊重されているように感じました.(つづく)